感覚・知覚の研究にとって、それぞれの感覚系がどれほどの感度や精度をもっているかを知ることは重要である。このうち、2つの刺激の強さ(たとえばたとえば明るさの差)や性質の区別(たとえば色の違い)を感じうる最小の刺激差(たとえば明るさでは光の強度差、色では波長差)の精度をさすものを弁別閾(differential threshold)もしくは丁度可知差異(jnd)という。
このような感覚系についての研究は19世紀なかば、ウェーバー(1840年代)、フェヒナー(1860)らによって始められ、とくにフェヒナーはこうした研究を精神物理学(psychophysics)と命名した。
ウェーバー(Weber,1840年代)は2つのおもり(標準重量と比較重量)の重さを比べる実験で、弁別しうる最小の重量差(弁別閾)を調べた。たとえば、300gの標準重量に対して、比較重量を306gにしたとき、その差がはじめてわかったとすると、このときの弁別閾は6gである。次に標準の重量を600gにしたとすると、このときの弁別閾は6gでなく、12gとなる。このような実験結果から、ウェーバーは一般に標準重量をSとし、弁別閾を∆Sとすると、Sと∆Sの比はほぼ一定になると考えた。
重さの感覚だけでなく、ほかの感覚系についても、一般に標準となる刺激Sと弁別閾∆Sとの間には、たとえば上の実験の場合、6/300=12/600=1/50というような
∆S/S=k (kは定数) (1)
で示される関係が成り立つことをウェーバーは明らかにした。∆S/Sを相対弁別閾ともいい、∆Sを絶対弁別閾という。式(1)で表される事実、すなわち「相対弁別閾が一定である」ことをウェーバーの法則と呼び、kをウェーバー比という。この比は感覚系によってその値が異なることも知られている(表A)。
重さの弁別閾
目的
感覚・知覚の研究にとって、それぞれの感覚系がどれほどの感度や精度をもっているかを知ることは重要である。このうち、2つの刺激の強さ(たとえばたとえば明るさの差)や性質の区別(たとえば色の違い)を感じうる最小の刺激差(たとえば明るさでは光の強度差、色では波長差)の精度をさすものを弁別閾(differential threshold)もしくは丁度可知差異(jnd)という。
このような感覚系についての研究は19世紀なかば、ウェーバー(1840年代)、フェヒナー(1860)らによって始められ、とくにフェヒナーはこうした研究を精神物理学(psychophysics)と命名した。
ウェーバー(Weber,1840年代)は2つのおもり(標準重量と比較重量)の重さを比べる実験で、弁別しうる最小の重量差(弁別閾)を調べた。たとえば、300gの標準重量に対して、比較重量を306gにしたとき、その差がはじめてわかったとすると、このときの弁別閾は6gである。次に標準の重量を600gにしたとすると、このときの弁別閾は6gでなく、12gとなる。このような実験結果か...