「薔薇の名前」の感想
ウンベルト・エーコの「薔薇の名前」を読みました。まず最初に言えることが、とても読みにくかったです。言葉が
難しいということもありますが、それ以上に、宗教に関する部分の理解が大変でした。それでも何とか読み進めま
した。この作品には、ウンベルト・エーコの主張が比喩的にかくされて表現されている部分が多いと感じました。そ
の一つ目は、ホルヘがなぜそれほどアリストテレス詩学第 2 部を修道士に読ませようとしなかったかという点で
す。それは、ウィリアムとアドソの会話の「純粋というものはいつでも私に恐怖を覚えさせる」「純粋さのなかでも何
が、とりわけ、あなたに恐怖を抱かせるのですか」「性急な点だ」というところに暗示されていると思いました。ホル
ヘは、他のどの修道士よりも熱心に信仰していました。言うならば、教えに対して純粋で、融通がきかない人物で
す。あまりにも純粋で狂信的であるがゆえに、本に毒を塗って読んだ人を殺害し、思想を揺るがす考えを封印しよ
うとしました。もしかしたら、ホルヘが盲目なのは、あまりにも純粋なことは時として、物の捉え方も盲目になってし
まうということを暗示して...