刑法各論 横領罪と二重譲渡

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    二重売買と横領罪 【参考判例】昭和31年6月26日・☆昭和47年11月22日
    一 Xの罪責について
    まず、本問で問題となるのは、詐欺罪(246条)、横領罪(252条)、そして背任罪(247条)であり、以下これを順番に検討していく。
    (1)詐欺罪については、行為者の「欺罔行為」により、相手方を「錯誤」に陥らせて「処分行為」をさせ、「財物又は、財産上の利益」を詐取することが構成要件となる。本件においてはX・A間の契約当初にはAを欺く故意が存在しないため、詐欺罪は成立しない。
    (2)次に、横領罪の成立には、?委託信任関係にもとづく財物の自己占有、?財物の他人所有、?領得行為が必要とされる。
    ?(財物が自己占有であることの認定)
    まず、横領罪が成立するためには、当該不動産がXの「占有」に属するものでなければならない。
    横領罪は他人の物を預かっている者が誘惑に負けてその物に手を出してしまう、つまり処分してしまう犯罪であるから、横領罪の客体としての占有は、窃盗罪などの奪取罪における占有と異なり、侵害の客体としての占有ではなく、誘惑の対象としての占有、つまり処分できる可能性を有する占有でよいので、事実上の占有(事実的支配)のみならず法律上の占有(法律的支配)もそこに含まれることになる。
    したがって、土地に対する登記名義を有しているXは、本件土地を占有しているといえる。
    (委託信任関係の認定)
    横領罪は委託信任関係を破る点に占有離脱物横領罪よりも重い法廷刑が規定されている根拠がある。

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    二重売買と横領罪 【参考判例】昭和31年6月26日・☆昭和47年11月22日
    一 Xの罪責について
    まず、本問で問題となるのは、詐欺罪(246条)、横領罪(252条)、そして背任罪(247条)であり、以下これを順番に検討していく。
    (1)詐欺罪については、行為者の「欺罔行為」により、相手方を「錯誤」に陥らせて「処分行為」をさせ、「財物又は、財産上の利益」を詐取することが構成要件となる。本件においてはX・A間の契約当初にはAを欺く故意が存在しないため、詐欺罪は成立しない。
    (2)次に、横領罪の成立には、①委託信任関係にもとづく財物の自己占有、②財物の他人所有、③領得行為が必要とされる。
    ①(財物が自己占有であることの認定)
    まず、横領罪が成立するためには、当該不動産がXの「占有」に属するものでなければならない。
    横領罪は他人の物を預かっている者が誘惑に負けてその物に手を出してしまう、つまり処分してしまう犯罪であるから、横領罪の客体としての占有は、窃盗罪などの奪取罪における占有と異なり、侵害の客体としての占有ではなく、誘惑の対象としての占有、つまり処分できる可能性を有する占有でよいので、事...

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