社会福祉援助という場合,まず生活とは何かを明らかにしておく必要
がある。個入は社会という現実のなかで生活を営む。最も身近なところ
では家族というまとまりのなかで生きている。とくに未成年の場合は,
家族あるいはそれに類似した集団から離れては生活ができない。学校も
また1つの現尖社会である。学校を卒業して実社会の生活に入ると,そ
こには広範な種類の職業の場で,それぞれの役割が期待される。家族に
しても,学校にしても,また職場にしてもみな社会制度であり,かつ,
そのなかに生きている者同士の相互的な関係のなかで人は生活するので
ある。岡村重夫はこれを「社会生活の基本的要求」といっているが,こ
れを基本に据えて,生活とは「生理・心理的存在としての個人」が,社
会という現実において,好むと好まざるとにかかわらず,その前に立つ
巨大な社会制度に自己を関連づけることを意味するものである。つま
り,「我々の生活というのは,生活者たる個人と生活環境としての社会
制度との相互関連の体系である」としている蜆。
この生活の概念を使えば,社会福祉援助の対象は個人と制度との関
係,すなわち社会関係における個人の生活...