トリストラムとイゾーデは、ラーンスロットとギニヴィアと並ぶ「アーサー王とその騎士たち」に含まれる悲恋物語である。
トリストラムもラーンスロットも、王妃との不義がきっかけで、国を巻き込んで悲劇を生んでゆく。
この作品達が今日でも語り継がれ残されている理由は、やはり二人が忠誠心を持った理想的な騎士であり、また二人とも愛に一途だったからではないだろうか?
ラーンスロットはアーサー王に仕え、円卓最強の騎士であり、皆の太陽のような存在であった。一方のトリストラムも、そのラーンスロットとの一騎打ちで互角に戦った腕前である。物静かで遠慮深い性格でありながらも、その騎士としての素晴らしさを知ったアーサー王に「騎士中の騎士、最も心優しい、最も尊敬に値する騎士」と賞賛され、円卓の騎士の一人に迎えられた人物である。
ロマンスは騎士達の原動力である。そして、高貴な勲功や名誉の希求を鼓吹する力を持つ。
王妃イゾーデとの密通がばれ、マーク王に追放されたトリストラムは、常に戦い続け弱い者を助けた。追放された時のトリストラムはそういった感情よりも、愛する者と別れている心の苦しみを軽くしようとするため...