赤ちゃん研究法a

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    資料の原本内容

    問題と目的
    赤ちゃんの研究については彼らが言葉で直接自分の意思を伝えることが出来ないために、その注視時間や情動表出、口の開け閉め、発声、手足の動きなどを指標として、その行動の回数や継続時間を計ることによって行われる。今回の実習では、赤ちゃん研究の基礎としてその性質のひとつである、より好きなものを注視するということを利用した選好注視法を用いて、赤ちゃんの好む刺激とはどのようなものかというところを明らかにする実験を通して赤ちゃん研究の一端を学ぶものである。
    方法
    参加者:10ヶ月児1名(男児)が本実験に参加した。
    施設:京都大学文学部棟内にある実験室。部屋の中央部に椅子、その正面にモニターが設置してあり、さらにその上部には実験室外から観察できるように接続されたビデオカメラが設置されていた。モニターは室外からそれに映る内容が操作でき、刺激が映された。
    刺激:下記の刺激はモニターを左右に2分割して映され、異なる刺激に切り替わるタイミングで画面中央にビープ音とともに動物の顔をディフォルメしたものが映った。
    動くボール:画面上をランダムに動く赤と青の一つずつのボールと画面上を片方がある程度もう片方のボールを追うという規則的な動きをする赤と青の一つずつのボール。
    顔認識:成人男性の顔の正面から撮った静止画像であるが、片方はエフェクトをかけていないもの、片方はモザイクをかけたもの。
    表情識別:成人女性の顔の正面から撮った静止画像であるが、片方は真顔であり、片方は笑顔であった。
    バイオロジカルモーション:黒い画面を背景とし、明点が10数個動く。片方は人が歩く形を模しており、片方はもう一方の明点の個々の位置をばらばらにしたものである。
    手続き:実験参加者の母親に部屋の中心部にある椅子に座ってもらい、そのひざの上に実験参加者をのせた。上記の刺激を正面のモニターに映し、その映像を分析して注視時間を計った。
    結果
    動くボールは随伴性のあるものは18.9秒、随伴性がないものは9.2秒注視した。顔認識はエフェクトがないものは6.2秒、モザイクをかけたものは3.6秒注視した。表情識別は真顔のものは6.1秒、笑顔のものは6.0秒注視した。バイオロジカルモーションは人型のものは7.3秒、ランダムのものは6.3秒注視した。図1から図4の横軸の単位は秒である。
    考察
    動くボールに関しては随伴性のあるものが随伴性のないものに比べて倍以上の注視時間を得た。このことから実験参加者が随伴性など規則性のあるものをより好んでいるように考えられるがバイオロジカルモーションに関していえば人型のものをランダムのものより格段に注視していたとはいえないがある程度の差が認められたことから何かしら規則性を持ったものを好む性質があると考えられる。また、顔認識と表情認識に関しては顔認識がモザイクをかけたものよりエフェクトをかけていないものが格段に多い注視時間を得たが、これはモザイクという効果によって人の顔と認識しづらくなったため、より親近感のわく人の顔を注視したのだろう。だが表情については真顔のものと笑顔のものの間で注視時間に大きな差がなかったのは実験としては失敗となると考えられる。その理由として考えられるのは、表情の差が大きくなかったことや、個々の画像が小さく、表情の差を実験参加者が認識できなかったこと、実験の後半であったため集中力が切れてきたことである。
    図1 「動くボール」の注視時間
    図2 「顔認識」の注視時間
    図3 「表情認識」の注視時間
    図4 「バイオロジカルモーション」の注視時間

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