製造業の空洞化が問題になるのは、競争力の低下や海外への生産移転によって国内生産が縮小し、雇用や所得が失われてしまうからである。輸入が増え輸出が減少しても、国内需要がそれ以上に拡大していれば、国内生産は増加し、雇用も所得も増大していく。
空洞化は国内需要成長の低下と、国内生産の競争力低下によって生じることになる。その形は、日本企業の海外直接投資によって輸出が代替されたり、逆輸入によって国内生産が縮小するケース、また単純に外国企業によって内外の市場シェアが奪われる場合もある。
空洞化の進行過程は一様ではなく、例えば日本の海外直接投資の拡大は輸出誘発効果が大きいといえるかもしれない。海外直接投資の拡大によって、現地に工場をつくるための機械やそこで生産される製品部品の日本からの輸出拡大といったことは存在するが、それは長期には続かない可能性がある。
日本のアジア諸国への展開を考えてみても、最初は低賃金労働力を求めて人手かかかるテレビなどの組み立て部門が出ていったが、やがて部品産業が現地生産を始め、続いてブラウン管に使われる管球ガラスのような素材型産業も出ていくことになる。こうして海外の現地には、素材や部品から最終組み立て製品までの一貫した産業基盤が形成されてしまう。また一度形成された産業基盤は、必然的に高度化していき、やがて製品や部品を生産する機械装置の生産まで広がっていく。これは日本が辿った道でもあり、海外流出分を国内で埋め、空洞化を防ぐには海外では生産できない新しい部品、あるいはコストを革新する生産システムが登場しなければならないのである。
日本の海外直接投資は、バブル期の1989年まで急増した。その後、90年代に入り減少傾向にあったが93年に再び増勢に転じることになった。ここで重要なことは、アジア向けの直接投資が急増していることである。
日本における製造業の産業空洞化の原因について述べる。
製造業の空洞化が問題になるのは、競争力の低下や海外への生産移転によって国内生産が縮小し、雇用や所得が失われてしまうからである。輸入が増え輸出が減少しても、国内需要がそれ以上に拡大していれば、国内生産は増加し、雇用も所得も増大していく。
空洞化は国内需要成長の低下と、国内生産の競争力低下によって生じることになる。その形は、日本企業の海外直接投資によって輸出が代替されたり、逆輸入によって国内生産が縮小するケース、また単純に外国企業によって内外の市場シェアが奪われる場合もある。
空洞化の進行過程は一様ではなく、例えば日本の海外直接投資の拡大は輸出誘発効果が大きいといえるかもしれない。海外直接投資の拡大によって、現地に工場をつくるための機械やそこで生産される製品部品の日本からの輸出拡大といったことは存在するが、それは長期には続かない可能性がある。
日本のアジア諸国への展開を考えてみても、最初は低賃金労働力を求めて人手かかかるテレビなどの組み立て部門が出ていったが、やがて部品産業が現地生産を始め、続いてブラウン管に使われる管...