デマの心理学 2009/12/24 G.W.オルポート L.ポストマン 自分の了見が狭い、ひがみ根性だ、利己的だなどとは、私たちはみとめたがらない。だからもしある集団の利己的な行為が伝えられ、それに関して私たちが反感をもち、おもてむきにそれを批判できるようになると、私たちは、心の奥にあるその集団への偏見から目をそらし、同時に自分自身の利己性を多めに見ることが出来る。自分が欠点を持っている、劣っているのだと認めることを、私たちはいやがる。だから、他人の欠点を指摘することが出来れば、その時は自尊心が回復されるのである。たいていの人は自分の衝動を恥じ、こわがっているが、このことが他人の不義を批判する傾向をもたらすのである。
大部分の憎悪や偏見に根ざす誤報、「反感」デマ、すなわちアメリカ人同士の間にくさびを打ち込むようなデマ、それらの真の原因はここにあるのだといえよう。国内の特定集団を疑い、泥をぬったりするということは全く外面的な事実であって、真の原因は、私たち自身の心の裏部屋に閉じ込められた感情に、根ざしているのである。他人の欠陥とか不道徳についてのデマは、裏梯子を上ってやってくる。それは私...