大衆 2010年4月8日 エリック・ホッファー 大衆運動が多くの特徴を共有しているという仮定は、すべての運動が同様に恩恵をほどこすとか、有害であるというのではない。本書はいかなる判断も下さないし、またいかなる好みも明らかにしない。本書はただ単に説明しようとするものであり、その説明、-すべてが理論である-は、たとえまるで断定的な調子で叙述されている場合でも、提案と議論の性質を帯びているのである。私としてはここでモンテーニュのつぎの言葉を引用するのがいちばん良いと思う。「私はすべて論述として述べているので、勧告として述べているのではまったくない。たとえ私の言うことをヒトが信じるのが当然であったとしても、私はそのように大胆に語ってはならないのだ」
私たちには、自分たちの存在を形成する種々の力を、自己の外部に求める傾向がある。すなわち、私たちはどうしても心の中で成功や失敗を事物の状態と関係付けるのである。それゆえ、願望が実現していると感ずる人々は、世界を申し分ないものと考えて、これをそのまま維持したいと望むのに反して、欲求不満に陥った人々は、過激な変化に賛成するのである。
彼らは心の底から新し...