小説ノート16

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    ツバメ記念日 季節風・春 2008年08月12日 重松 清 めぐりびな 「子どもの頃のことをなんでもうまく説明できる奴って、自分の子どもにも同じように説明させちゃうような気がするんだ。でも、そんなの無理だし、おとなが自分のガキの頃のことを思いだして、勝手に理由とか筋道とかを決めつけちゃうのもよくないと思うし・・・・・・わかんないことは、わかんないままでいいんだよ」 ブランコは一人で乗る道具だから。言葉を交わさなくてもいいし、向き合う必要だってないから。こっちに来ないでよと言われても、だって空いてるブランコに乗ってるだけだもん、あんたがたまたま隣にいただけだもん、文句あるんならあんたこそあっちに行けばいいじゃない、と言い返せるから――たぶん、その時点でどちらかがプッと噴き出して、ケンカは終わる。 ばらばらに漕いでても、やっぱり一緒なんですよ、なんとなく『ふたり』で遊んでる感じになるんですよ 強い弱いの問題じゃないんだよ、と心の中でつぶやきが漏れる。勝ち負けの問題でもないし、たぶん、正しい間違っているの問題でもないのだろう。じゃあ、どんな問題なのか――わからない。それはいまでも。
    砂の上...

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