竹内利美の1,「小農経営」への着目2,「小農経営」と家、同族団3,家族と家、村落4,組と講5,性別年序集団6,「小農」と「地縁」の関係等についての分析
竹内利美の講・組、年序組織研究
「小農経営」への着目
小農:わずかな田畑を所有し、家族の労働力だけで営む小規模の農業。
東北地方では名子制度や大家族制度を伴う大手作経営は稀な存在だと指摘されている。小農的な農業経営が一般化し、「寄生地主制」の網の目が覆っていたという実態でした。
竹内は岩手と長野の「親方百姓」の例によりながら、「村外分家」から「村内分家」への転換が、「近世初期検地を契機」として行われている事を注目する。つまり、近世初期検地を契機とする新しい支配体制の確立のもとで、地主は百姓に転じ、土地への支配力が覆滅した。または村境の確立や開拓の余地が乏しいという状況のもとで、村内分家に転じた。
親方百姓も、分家も村内の小農として創出された。村内の新開と集約的な労働力によって生産力の発展が貢租の重圧に耐える道であった。近世中期以後、小農の間で土地の兼併、喪失が生じ、村内分家も進んでいく。
農法の集約化、農業生産力の発展によって「村請」をさせざるを得なかったのである。「村請」をなし得るほど、家連合が強かったのである。
「小農経営」と家、同族団
竹内は小農経営における家と同族団について、...