読書ノート2

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    差別と日本人 2010年1月20日 野中広務・辛淑玉 私は仕事柄、全国を旅して回ることが多いが、その私の目には、京都の人たちの物腰の柔らかさは独特の何かを含んでいるように見える。表面的には低姿勢でありながら、頑なとしてよそ者を受け入れないある種の特権階級意識をその視線の中に感じる、そういう人と出会うことがしばしばあった。
    今でも、結婚差別に関する実態調査をすると、京都の社会意識としての差別観念は他に比べて高いと言われ、実際、どこが被差別部落なのかといった話になると、私が京都で出会った多くの人が、密やかに小声で被差別者やその居住空間を特定できた。
    まず、差別をするという実態が先にあり、それから「部落民」が作られ、「被差別部落」という空間が形成される。逆ではないのだ。差別する側があいつは「部落民」だと決めれば、そこから差別が始まる。要するに関係性の問題なのだ。
    自分は他者より優位だという感覚は「享楽」そのものであり、一度その享楽を味わうと、何度でも繰り返したくなる。特に人は、自分より強い者から存在価値を否定されたり、劣等感をもたされたりしたとき、自己の劣等意識を払拭するために、より差別を受...

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