有名国立大生の学部レポート。
「生物のもつ情報とその意義について」
レポート
生物における根源的情報は、遺伝子のもつ遺伝情報すなわちDNAである。2000年6月、ヒトゲノム地図のドラフト完成のニュースが世界を席巻したことは記憶に新しいが、現在この「遺伝子」における論議は、社会的、倫理的問題を孕み、研究レベルから日常生活にまで浸透してきた。近代科学技術の発展によって、私たちは、自然が35億年かけてつくりだしてきたものを変化させ、恣意的に操作する力を持とうとしている。
米国を中心に始まった遺伝情報解析は、これまでに存在しなかった倫理的問題を多々生み出した。そのなかでも、遺伝病に関する論議は紛糾している。
科学者たちや遺伝研究を肯定的に捉える人々の論じる、ゲノム研究推進の主な理由としては、遺伝病治療への貢献の可能性が挙げられる。しかし実際において、治療が容易でない遺伝子疾患の多くは診断方法のみが進歩する一方で、治療法の完成はそれをはるか後方から後追いしているという状況がある。解析が可能となった遺伝病 の例としては、ハンチントン舞踏病 があげられるが、この場合、病気の発生が前もって判明されながら、保因者たちはどうすることも...