表現行為によるプライバシー侵害の問題についての判例の立場を紹介し、これを論評せよ。
プライバシーとは、「他人の干渉を許さない、各個人の私生活上の自由」(広辞苑[第6版]岩波書店)であり、つまり、みだりに自分の私生活を公開されない権利であるといえる。それに対し、表現の自由は、「国民による政治」の実現・維持を目的とし、諸思想・見解の優劣を競う自由市場を確保する役割がある。また、政治と結びつく表現行為の自由や、社会における文化の伸展の発条的意味をもち憲法21条によって保障される精神の自由の中枢でもある。この表現行為によるプライバシー侵害が、しばしば問題となり、以下にこれまでの判例の立場を...