脊柱側湾症

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資料の原本内容

脊柱側湾症

脊柱が側方へ湾曲した状態。

①機能的脊柱側湾

〈概要〉

脊柱のねじれや椎体のけい状変形などの椎骨自体の形状変化は伴わない。単なる脊柱の側方湾曲を示した状態の総和。原因なっている因子を解決すれば消失ないし軽減する。一般に椎体の回旋を伴わない。臥位をとるなどして重力を軽減したり、身体を湾曲の凸側方向に曲げたりすると側湾は矯正される。代表的な病体として、疼痛性側湾や代償性側湾がある。

・疼痛性側湾症

 主として腰部の疼痛に対し反射的・防衛的に筋けい縮が起こって発生する。腰椎椎間板ヘルニアにみられることが多い。

・代償性側湾

脚長差や骨盤の側方傾斜(下肢関節の不良肢位でのこう縮に起因するもの)に対し、腰椎が代償性に側湾を示している状態。脚長差を補正すれば、側湾は矯正される。
②構築性脊柱側湾症

〈概要〉

レントゲン画像により、自家矯正が完全にはできない側方湾曲の存在、椎体のけい状変形・椎体の凸側方向へのねじれが認められる。 これは必要な3条件。

立位で背部を観察すると側湾凸側背部の隆起(胸椎側湾では、肋骨隆起、腰椎では腰部隆起)がみられ、凸側肩甲骨突出(上位胸椎側湾で著明)、ウエストラインの非対称性(腰椎側湾でよい明瞭)がみられる。椎体のねじれにより胸郭の変形が生じるため、上記の隆起と肩甲骨突出はほとんどすべての胸椎側湾症にみられる。多くは成長期に発見される。成長期間中に進行する可能性がある。側湾の進行の有無の定期的な評価・対処が必要。多くは原因不明の特発性側湾症である。

〈診断〉

・視診

立位の患者の背部を観察する。

①両肩の高さの左右差

②肩甲骨の側湾凸側での突出による左右の高さ

③両ウエストラインのくびれの左右差

④肋骨隆起・腰部隆起があるか(1~1.5cm以上の左右差

・X線

レントゲン画像で、主たる湾曲の上端に位置し傾斜が最も大きい椎体(上端の終椎)の椎体上面と下端に位置している同様の椎体(下端の終椎)の椎体下面に接線を引き、交わる角度(Cobb法)

〈治療〉

一般に生命予後に影響がないとみてよい。しかし、突発性側湾症は多感な成長期の女児に多いので心理的影響を無視できない。軽度~中等度の側湾は着衣によってほとんど目立たないが重度・進行度であると判断される時には治療対象となる。

完全な矯正が困難な構築性側湾症において、治療の目標は側湾を可及的に矯正・保持し、側湾の進行防止すること。側湾の進行防止が抑制できているか、進行の程度はどうかを定期的に評価する事が重要。一般的にCobb角が20~50°のものは保存的療法、50°以上のものは手術療法を考慮する。

・保存療法

装具療法…アンダーアーム装具

原則的に骨成長終了まで装着し、その間に体幹筋の強化を行う。

・手術療法

脊柱側湾の矯正と進行防止が当面の目標。

側湾度が大きく外見的・心理的に大きい場合や心肺機能にも影響がある。
 装具を使用しない運動療法

背臥位での胸式・腹式呼吸運動

背臥位、膝立ち位、立位での骨盤後方傾斜運動

膝立て背臥位からの起き上がり

開脚座位および長座位での上体前屈運動

服臥位での背筋強化運動:額を床につけ、上肢を挙上させる

四這いでの脊柱屈曲伸展運動

開脚立位での上体前屈

Klappの匍匐運動:床上で湾曲の凸側を内側にして円弧を描くように四這い移動。 

          一側の上肢(凹側)と反対側の下肢(凸側)を同時に素早く大きく前に出し、ゆっくりと四這いに戻す。

四這い上下肢交互挙上運動



(参考・引用文献)

東博彦・他:整形外科サブノート,144-146,南江堂,2003.

奈良勲・他:運動療法学 各論,90-98,医学書院,2002.

監修国分正一、鳥巣岳彦:標準整形外科学、第10版2刷、医学書院 2008年
〈参考文献〉

監修国分正一、鳥巣岳彦:標準整形外科学、第10版2刷、医学書院 2008年

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