ミュラー・リヤーの錯視図における錯視量の考察
目的
私たちに見えているままの世界と物理的な世界は同じではない。このことを端的に示す事実の一つとして、錯視がある。ミュラー・リヤー(Muller-Lyer)の錯視図を用い、錯視を単に現実的に観察するのではなく、調整法によって錯視量として数量的に測定する。
方法
実験参加者
4名の大学生および大学院生(男性4名 平均21±2.38歳)。
用具
竹井機器工業株式会社の錯視図(製造番号63120100)を用いた。
標準刺激の主線の長さは10cmに固定した。
鋏辺の長さは3cmに固定した。
鋏角は15°30°60°の3種類を使用した。
錯視量の定義
図1を参考に、a-b=Iの値を錯視量とした。錯視量を求めるには、主観的にa=bと見えるときのa,bの値を求めた。そのために、bの長さ(bのaに対する主観的等価点、 point of subjective equality, PSEという)を測定して、aとの差をとった。aを標準刺激(Sc)、bを比較刺激(Ss)とした。
図1 標準刺激と比較刺激の例
実験手続
図2を参考に、比較刺激(Sc)である外向図形の...