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本稿では、筆者の生活している地域として、直近に住んでいた神奈川県とし、箱根の寄木細工を取り上げたい。この工芸品の背景や工程、特徴について金指ギャラリーを訪れて調べ、教師として今後の図工科指導に活かせる学習のまとめを行うことを目的とする。
寄木細工が考案された背景については、その豊富な木材の活用という課題からである。箱根は鳥取県の大山、京都の嵐山と並んで樹種の豊富である。この多種の木材は、多彩な色表現を可能にし、これらを集積して文様をつくるという寄木細工の発案に至る。この地域は、昔は木の国と呼ばれており、木地師の職祖とされる「惟高親王」伝説によれば、親王は流罪となり伊豆に下向、親王没後、その家臣団は、相模の国、芦ノ湖付近の早川に来住し、木地挽を生業としながら姫宮を養育したと伝えられる。 木地師の職業集団としての起源は古く、職人として強い団結力を持ち、全国各地の山間部を移動し集落を築いていたのである。箱根越えは、時代によりそのルートを変えるものの、江戸時代に箱根東海道が成立した。 寄木細工は、箱根の中でも畑宿地区で盛んである。ここでは、古くから木地師が住み、史実によると、この地の統...