序章:題材設定の理由
私は神戸の小学校で難聴児のサポートをする、というボランティアをしている。私が障害のある人と係わった経験といえば、中学校時代の他学年の生徒と、教育実習時に出会った子ども達との出会いだけである。そして難聴の子ども達にはこのボランティアで初めて出会った。外見だけを見ると補聴器を付けていなければ他の子ども達と区別が付かず、本当にこの子たちに障害があるのだろうか?と思うほどである。そんな子ども達と付き合う中で、自分に対しての課題が次々とできてきた。以下はボランティアを始めた当初、特に強く感じた私の主な問題点・課題点である。
・ 注意したいことがあるのに手話等の手段が乏しく、タイミング良く指導することができない。
・ 他の児童には注意するようなことでも、「この子たちは聞こえていないのだから」と注意せずにすませてしまう。
・ どこまで先生の話を伝えるべきか分からない(筆談のため、素早く情報を伝えられない)
・ 雑談ができにくい。(巧く伝わらなかった不安、という気持ちがある)
自分の気持ちを伝え・相手の気持ちを受け取る、ということの難しさにこの難聴児達とかかわる中で改めて考えさせられるようになった。そして今日的な話題として、特殊教育から特別支援教育への変化が行われようとしている。そのことにより、通常学級にも様々な障害がある子ども達がやってくることが考えられる。それらの子どもたちは、他人とコミュニケーションをとることが特に難しいだろう。またそれとは別に今日、子ども達の中に障害のある無しに係わらず、他人に対して自分の思いをうまく伝えられない子どもが増えているように思う。そのような子ども達のことも視野に入れつつ、現在係わっている難聴児達や、先生方からヒントをもらいながら教師と子ども、子どもと子どもの心が繋がる学級をどうやってつくっていけばよいか、を考えていきたいと思いこのテーマを設定した。
心を伝え合う学級経営の創造
~難聴児との係わりを通して~
序章:題材設定の理由
第一章:ボランティアを通して難聴児から学んだこと
1.ボランティア先の小学校の現状・活動
2、難聴児から学んだこと
難聴とは
第二章:現在と過去との子どもの変化
1. 今日の子どもの心の結びつきに見られる特徴
家庭の変化
遊びの変化
第三章:心を伝え合うために
1.「言葉で話す、人の話を最後まで聞く」ということ
2. どのような話し方をすればよいか
第四章:そのために学校でできること
心の教育
・心を教育するということ
・なぜ今心の教育なのか
・心の教育として重視するもの
・「体験の振り返り」による心の教育の基礎基本
グループエンカウンター
・「構成的グループエンカウンター」とは?
・構成的グループエンカウンターをするにあたり大切なこと
・なぜ「構成的グループエンカウンター」か?
教室での教師の援助
・聞き取りが苦手な児童への援助
・自分の考えをうまく他人に伝えることが苦手な児童への援助
話し合いのできる学級を作るため...