白居易の生涯・残した詩の概要と、長恨歌が源氏物語に与えた影響について。
はじめに
白居易は中唐を代表する詩人である。白居易の作品は中国ばかりでなく、日本でも多くの人に愛され、日本の文学にも大きな影響を与えている。そこで本レポートでは、まず白居易の作品の概要を説明する。そして、白居易の感傷詩である「長恨歌」をとりあげて、この作品が日本の源氏物語に与えた影響を中西進著『源氏物語と白楽天』の一節を借りながら述べる。
第一章 白居易の生涯と作品の概要
白居易(白楽天)は西暦七七二年に、河南省に生まれた。彼は五、六歳の時に、すでに詩の書き方を学び、九歳の時に、抑揚と韻律を心得ていたという。
初期の詩に共通な主題は兄弟やいとこ達との別離である。初期の作品群には幸福そうな詩は見当たらない。
政治を批判し、人民の苦痛を訴える諷諭詩をはじめとして「長恨歌」や「琵琶行」など、すべての現存するもの三千余首、唐代一の多作な詩人である 。
白居易の詩は諷諭詩・閑適詩・感傷詩・雑律詩の四類に分けられる。政治の乱脈を諷刺し、社会の混迷を批判し、人民の苦痛をうったえて、詩一七二首を作った。みずから名づけて、“諷諭詩...