政治学原論2 影の内閣

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    日本の議院内閣制の原型であるイギリスにおいて、その特徴として挙げられるものが「影の内閣」である。19世紀イギリスのジャーナリストであったバジェットは、その著書『イギリス憲政論』(1867)の中で「イギリスは『陛下の反対党』という言葉を発明したといわれている。またイギリスは、政治の批判を政治そのものにするとともに、政治体制の一部にした最初の国家であるともいわれている」と述べている。つまり19世紀の後半には「陛下の政府」に対する「陛下の反対党」としての野党の政治的役割がすでに認識されていたと言える。ブレイクの『保守党史』(1970)によると、影の内閣は1906年以後に開かれていた前閣僚たちの会合がその原型である。「影の」という表現は以後定期的に使用されていたと見られるが、今日私たちの知る影の内閣とはほど遠いものである。今日のような形がはっきりしてくるのは1924年である。この前年、1923年12月の総選挙において保守党は比較第一党にはなったものの、過半数を獲得することができなかった。信任をえられなかった保守党内閣は下野し、翌年第二党の労働党が少数内閣を組織した。ここで保守党は、単なる前閣僚...

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