都市地理という言葉が1個人の単著として日本ではじめて出たのは、1934年に國松久彌の『都市地理序説』が初めてではないかといわれている。ただこの時点の都市地理はヨーロッパと日本、古代・上代から始まる都市の概説や都市分類が主であった。また同年、西田與四郎は「都市地理学研究法序論」と呼ばれる論文の中で、都市地理学という研究に対して「以上之を要するに地表の文化景たる都市を研究するに当たり、先づ如何なる地域の、如何なる地盤の上に、如何なる形態をとって広がり、如何にして生存発達して居るかを調べることが必要と思ふのであります」と考えを述べている。以上のような出発点で始まった日本の都市地理学であるが、果たして他の都市研究の学問と比較し、どのような点に特徴があるのであろうか。
都市と名前の付く学問は意外に多い。都市社会学、都市経済学、都市工学、歴史都市学、都市政治学、都市衛生学などである。また都市という名前が付いていなくても都市に関連する研究を行っているものもある。人口学、建築学、土木工学などがそれにあたる。では以上のものと都市地理学の違いは何なのであろうか。地理学は「地域に対する研究」であって、「都...