本実験は、アニリンのアセチル化によるアセトアニリドの合成を行うこと、再結晶による精製を行うこと、粗結晶と精結晶の融点測定から合成物質の同定を行うことを目的としたものである。
[緒言]
●有機合成とは
●アセチル化とは
●再結晶とは
●融点測定とは
[実験]
●関連物質の物性
●使用器具
●実験操作
●操作上の注意点
[結果]
●アセトアニリド粗結晶の収率の算出
●アセトアニリドからの精結晶の収率の算出
●アセトアニリド粗結晶からの精結晶の回収率の算出
●融点の推定
[考察]
●収率についての考察
[参考文献]
[緒言]
有機化学の分野において「合成」とはひとつまたはそれ以上の別々の化学反応を用いて、特定の化合物を作り出す過程をいう。目的物質を作り出すための化学反応の組み合わせや条件の選定などは合成計画と呼ばれ、用いられる化学反応には、C-C結合の生成、官能基変換などが挙げられる。
しかし、このようにして合成した化合物や抽出などにより得た化合物は多くの場合不純物を含むため、合成操作ののちには、不純物を取り除き目的化合物を単一で純度の高い物質にする、精製操作を行うことが必要である。精製には、不純物を含んだ結晶性物質を適当な溶媒に溶かし、他の物質の添加や共通イオン効果などを利用して不純物が析出しないようにして再び結晶させる再結晶、液体混合物を加熱し、得られた物質の蒸気の蒸気圧差を利用し、低沸点物質を液体として取り出す蒸留、固定相、流動層との親和性(分子間相互作用)の差により分離を行うクロマトグラフィー処理などの方法が用いられることが多い。
さらに、合成、精製を経た化合物の同定、純度の測定を行うことも重要である。化合物は、純粋であるならば、その物質に固有の沸点、融点などの物性を示す。したがって、物性...