インフォームド・コンセントと患者の自己決定権
インフォームド・コンセントという考え方は、バイオエシックスの中から出てきたものである。欧米においては1980年代には、患者の自己決定権はほぼ認められるものとなっていた。アメリカで医師に対する裁判が立て続けに起こり、患者への説明なしに行った治療や、告知をしなかったことに対する敗訴などから、日本にインフォームド・コンセントの概念が入ってきたときにも、当時インフォームド・コンセントの内容は医療従事者側の危惧する面としてとらえられていた。しかし近年では、良質な医療の提供の一環として、重要となっている。医療行為に対し、説明と承諾というのは医師と患者双方の信頼関係がもとにあり、それが築かれることが必要である。つまりインフォームド・コンセントというのは、患者自らが、生命のあり方を選択する権利である「患者の自己決定権」が前提である。法律上、説明義務を規定したものはないが、第4次医療法改正において努力規定として記されている。医師の説明義務の内容は、患者の容態、受けるべき侵襲の程度、副作用の大きさまたは患者の理解能力など、さまざまな条件により決定されるものであ...