社会教育の概念は複雑であり多義的である。これは、法の規定という視点から見ても同様であり、社会教育法において社会教育は、学校の教育課程として行われる教育活動を除く青少年また成人に行われる組織的な教育活動というように規定付けられている。「これが社会教育である」という規定ではなく、「~を除く」という引き算の規定であり、曖昧である。そこで、社会教育と学校教育の実態を比較し、社会教育の概念の輪郭を浮かび上がらせていく。
第1に、学校が特定の空間(学校)へ通学して学ぶのに対し、社会教育における学習空間は公民館・図書館・博物館など多彩である。第2に、学校では定められた時期・時間に学ぶのに対し、社会教育においては、年齢の限定や、学習の曜日や時刻のような時間の限定がない。第3に、学校において学習を受けるためには入学試験などの条件をクリアしなければならないのに対し、社会教育においては学習活動への参加や施設の利用は学習者の任意である。第4に、学校において学習者は定められた内容を学ぶのに対し、社会教育では自身で学習内容や学習方法を選択することができる。第5に、学校では特定の有資格者から学ぶのに対し、社会教...