『学習指導要領の変遷について』
学習指導要領の変遷
学習指導要領の変遷は経験主義と系統主義との間での往復であると言える。経験主義とは体験学習などの「見る・聞く・話す」を核とする考え方であり、児童に主体が置かれる。それに対して系統主義は教科書中心型の「読み・書き・計算」に眼目を置いており、教師側主体の考え方である。以下ではその二つの考え方を軸に据えつつ、戦後の学習指導要領の変遷について見てみよう。
学習指導要領の成立
昭和22年の『学習指導要領一般編(試案)』は最初に制定された学習指導要領である。(試案)とあるように、この指導要領には法的拘束力がなく指導用の手引書に近いものであった。このような扱いの要因としては戦時中の教育勅語に基づく全体主義的教育への反発があった。
小学校では、教育課程が「国語・社会・算数・理科・音楽・図画工作・家庭・体育・自由研究」の9教科に再編された。戦時中と比較すると「修身科・歴史・地理」が「社会科」に置き換えられ、同時に「家庭・自由研究」が新設された点などが特徴的である。
中学校においては「国語・習字・社会・国史・数学・理科・音楽・図画工作・体育・職業」の10科...