開放経済体系における財政・金融の経済効果について説明せよ。参考文献有り
IS-LM-BPモデルを使って、開放経済での財政政策・金融政策の効果を分析する。
当初の均衡が図1の点E0であったとする。
財政支出G の増加はIS曲線を右にシフトさせる。シフト後のIS曲線がIS’であるとする。LM曲線との交点で与えられる新たな均衡点E1 は、国際収支を均衡させない。この点はBP曲線の上側にあるから、国際収支は黒字である。そこで、変動相場制の下では、為替率が円高にシフトする。つまり、e が低下する。e が低下すると、輸出が減少し輸入が増加して、経常収支の黒字が縮小(赤字が拡大) する。すなわち、BP曲線は上にシフトする(BP’になる)。また、輸出が減少するから、IS曲線も下にシフトする(IS’’ になる)。こうして、新たなIS曲線とLM曲線との交点がBP曲線上に存在するようになる(E2)と、国際収支は均衡して為替率の変動は止まる。
つまり、開放経済では、閉鎖経済よりも、財政政策の効果は小さくなる。これは、財政支出によって生み出された新たな需要の一部が海外へ逃げたためである。しかしながら、そうなったのは、BP曲線の傾きがLM曲線の傾きよりも緩やかだったためである。...