少子・高齢化と社会保障問題について
日本は世界に類をみない高齢化を経験しつつあるといわれ続けている。日本の高齢化の動向をみてみると、今から半世紀の1950年には、65歳以上人口は416万人、高齢化率(65歳以上人口が全人口に占める割合)4.9%であった。その後一貫して高齢化が進行し、1970年には、65歳以上人口が739万人、7.1%となった。2000年には2187万人、17.2%と、この30年間に急速な高齢化が進行している。高齢化の一方で少子化も進んでおり、2000年の0~14歳の年少人口は1860万人(全人口に占める割合は14.7%)と、65歳以上人口が14歳以下の人口を上回っている。
今後の日本の社会保障には大きな不安要因があることも触れておきたい。しかしそれは、少子・高齢化社会が原因として生じるというよりは、生命科学の急激な進歩や日本が成熟社会に向かうがゆえに発生する問題である。
まず、医療費は高齢化が原因で上昇しているのではなく、医療の技術変化--新薬や新しい医療機器の導入など--を原因として上昇してきた事は、十分に確かめられている。いまや、われわれの生活に浸透したコ...