(1) 看護技術の有限性
科学技術は行為する対象をモノとして捉え、病人自体もモノとしてみなす。たとえば、臓器移植などの高度医療においては、人間をモノとして捉え、「生かす」ことを目的とし、一層の技術開発に使命感を持つ。すなわち、生と死の概念が乏しいものになりがちであり、無限性である。
一方、生と死の概念のある看護技術の本質は、「生命力の消耗を最小にするように整える」ことを目的とし、人間の「生きる」ことへの欲求に深くかかわる。しかし、人間は一回限りの命であり、いつか死を迎える。つまり、人間の生は必然的に有限であり、一人一人異なる個別性を持つ。さらに、看護師のも
看護実践と看護のテクネー
看護技術の有限性
科学技術は行為する対象をモノとして捉え、病人自体もモノとしてみなす。たとえば、臓器移植などの高度医療においては、人間をモノとして捉え、「生かす」ことを目的とし、一層の技術開発に使命感を持つ。すなわち、生と死の概念が乏しいものになりがちであり、無限性である。
一方、生と死の概念のある看護技術の本質は、「生命力の消耗を最小にするように整える」ことを目的とし、人間の「生きる」ことへの欲求に深くかかわる。しかし、人間は一回限りの命であり、いつか死を迎える。つまり、人間の生は必然的に有限であり、一人一人異なる個別性を持つ。さらに、看護師のもつ使命感は人間の死という不条理さに否定される。看護技術はこうした人間の生と死という概念を持つ特徴があるが故に有限性をもつ。
看護師はこのように有限である患者の生のはかなさを理解し、生とかかわりながら同時に死ともかかわっていく。したがって、使命感を強めるとともに、相手に及ぼす影響、また、看護技術の影響を常に意識しなくてはならない。
看護技術の規定
看護師は、病気自体を見るのではなく、その病気を患うそれぞれの人を見ること...