日本大学通信制 法学分冊1

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    資料紹介

    法源とは、法の現れる形式である。法による裁判が要請されるシステムの下で、裁判官が判決を正当化するに当たって依拠すべき基準が法源であり、何が法源かを巡る議論は、法学では重要性を持っている。では、「法が現れる」とは

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     法源とは、法の現れる形式である。法による裁判が要請されるシステムの下で、裁判官が判決を正当化するに当たって依拠すべき基準が法源であり、何が法源かを巡る議論は、法学では重要性を持っている。では、「法が現れる」とはどういう事か。法は「法典」の形で既にそこにあるものではないか。実はそれだけが法なのではない。

     あなたは喫茶店で本を読んでいる。隣の人は何か書き物をしている。ふと見ると、大切にしていたのに盗まれた万年筆と全く同じ物を、その見知らぬ隣人が持っている。万年筆に付いた傷の箇所まで同じである。このときあなたはどうするか。自分のものではないかと疑い、事情を話して返却を求めるであろうか。それともその人が少し席を立った所を見計らって、黙って取り返してしまうだろうか。前者はともかく、後者の行為は、たとえそれが間違いなく自分がかつて所有していた万年筆だったことが認識されても、許されない。それが自力救済だからである。自力救済とは文字通り、自分で自分の権利の救済や回復を図ることである。自分の権利を守るためなのだから、一見正しい行為に見えなくもない。しかし、この万年筆を使っていた人...

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