航空業界におけるコーポレート・ガバナンス構築の実践についての比較研究
コーポレート・ガバナンス構築の実践についての比較研究
―航空業界JALとANAに焦点をあてて―
1 はじめに
現在、金融業界は日本版ビックバンの進展と共に日本金融史上最大の激変期に見舞われている。しかし、このような業界再編が伴う激変が生じているのは金融業界に限ったことではない。
人が初めて空を飛んでから約1世紀、日本で民間航空会社による本格的な商業運行がスタートしてからは、まだ約半世紀にしかならない。だが、この間に航空運送は長足の進歩を遂げ、社会生活に不可欠なサービスとなった。現在では、日常の移動で気軽に利用できる身近な交通手段として人々の間に定着している。最近の日本の新聞・ニュースに目を向けると、新しいビジネスモデルを揚げた航空会社、新しい運賃、新しいサービスなどが次々に登場し、航空業界にも新たな展開が生じてきている。
航空業界では独自性が発揮しにくいという特徴もあり、人的なサービスや機内の設備などを工夫し、企業不祥事の対処など様々なハードルが立ちふさがりながらも各社は勝ち残り戦略に力をいれている。また、世界情勢や景気の影響を受けやすいことも利益率が伸びない要因のひとつであり、景気動...