地域福祉の概念規定における機能的アプローチと構造的アプローチについて述べなさい。
地域社会(コミュニティ)とは、「近隣社会」や「地域共同社会」などと訳される。この地域社会という言葉の中には、自主性、開放性、積極性といった意味合いが多分含まれている。
明治期には、小地域社会の改良活動を積み重ねることで、広域の地域社会を改造するという考え方が基本的であった。また、それ以前の、伝統的地域社会でみられた「溝」「結い」「こうろく」などの相互扶助の活動は地域福祉の源流といれる。欧米の影響によるセツルメント活動を機に、「住み込み、問題解決を図る」という民間社会事業としての意味が大きく、地域福祉の源流としての思想といえる。地域社会の問題は、その地域社会にあって解決を図るという地域福祉の理念の源流があった。
地域福祉は戦後の高度経済成長に伴う「経済制度と防貧制度としての社会福祉」の対象の拡大と社会福祉制度の拡大によって、必然的に登場する「新しい社会福祉の形態」であると言える。それは、戦前から受け継がれてきたセツルメント思想と戦後のイギリスのコミュニティケアの思想によって構成されてきた新しい社会福祉と考え...