利益相反取引

閲覧数2,716
ダウンロード数11
履歴確認

    • ページ数 : 2ページ
    • 会員550円 | 非会員660円

    資料紹介

    1 利益相反取引
     取締役会設置会社では、取締役が会社の業務執行を通じて自己の利益を図り、会社に損害を与えることを防止するため、利益相反取引(356条1項2号3号)については、相当性を判断するために取締役会決が要求されている。
     (1)まず、直接取引(356条1項2号)にあたらないか。自己又は第三者の「ために」の意義を「名義」と解するか、「計算」と解するかが問題となる。
     この点、同号は民法108条に該当する場合を予定しており(356条2項)、民法108条は計算ではなく代理人名義に着目した規定である。
     また、文言上、「ために」と「計算において」(120条1項)とは使い分けられている。さらに、間接取引(356条1項3号)も規制されているので、「名義」と解しても規制の範囲が狭くなりすぎることはない。
     そこで、「ために」とは、通常の用語法に従い「名義」と解する。
     (あてはめ:)本件の保証契約は、B自身またはBが第三者の名義でなしたものではないから、直接取引(356条1項2号)には該当しない。
     (2)では、本件保証契約は間接取引(356条1項3号)に当たらないか。A会社とEとの間の利益相反性の有無が問題となる。
     (あてはめ:)確かに、EはF株式会社の取締役ではない。しかし、発行済株式の70%を有する株主であり、F社会の剰余金の分配等を通じ、F社の財産状況がEの利益に大きく影響する。
     したがって、本件保証契約はA会社とEとの間接取引にあたり、取締役会決議が必要となる。
    2 任務懈怠責任
     当該退任取締役が貸金を返済しないなど、本件貸付により会社に損害が生ずるに至った場合には、会社は取締役等の役員に対し、任務懈怠に基づく損害賠償責任(423条1項)を追求することが考えられる。

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    1 利益相反取引
       取締役会設置会社では、取締役が会社の業務執行を通じて自己の利益を図り、会社に損害を与えることを防止するため、利益相反取引(356条1項2号3号)については、相当性を判断するために取締役会決が要求されている。
    (1)まず、直接取引(356条1項2号)にあたらないか。自己又は第三者の「ために」の意義を「名義」と解するか、「計算」と解するかが問題となる。
       この点、同号は民法108条に該当する場合を予定しており(356条2項)、民法108条は計算ではなく代理人名義に着目した規定である。
       また、文言上、「ために」と「計算において」(120条1項)とは使い分けられている。さらに、間接取引(356条1項3号)も規制されているので、「名義」と解しても規制の範囲が狭くなりすぎることはない。
       そこで、「ために」とは、通常の用語法に従い「名義」と解する。
       (あてはめ:)本件の保証契約は、B自身またはBが第三者の名義でなしたものではないから、直接取引(356条1項2号)には該当しない。
    (2)では、本件保証契約は間接取引(356条1項3号)に当たらないか。A会社...

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。