一九四九年(昭和二四)に制定された「教育職員免許法」は、幾多の改定を続けてきたが、一九八八年(昭和六三)と一九九八年(
平成十)は、注目されるべき大きな改正であった。
従来、免許状の種類は「一級」と「二級」の二本立てであった。「二級免許状」は、小中学に対してであり、おもに短大卒業者に授与されていた。免許状そのものに価値的区分はなく、職員の給与や勤務条件に反映されるものではなかった。
一九八八年の改正では、従来の免許状二本立ての種類から三種類に増え、「専修」・「
一種」・「二種」に分かれた。免許状の種類は給与にリンクされ、免許状によって教員の階層化が意図されるようになった。
免許基準については、教職に関する科目を中心に習得必須科目が増え、覆修単位数も増大に引き上げられた。特に、教育方法に関する教科に重点が置かれた点が特徴的である。これは、一九七〇年代以降の教育問題多発や、教員の資質・能力低下や不足を指摘する社会的批判による対応策であった。
このような教員の資質向上を求める動きは、
戦後まもなくから始まっていた。一九六五(
昭和四〇)年の「教育職員養成審議会答申」の段階で、教科に...