脱北者の位置づけ
「難民」といってすぐに思い浮かぶのは中東地域の難民だ。アメリカのテロ報復として行われたアフガン侵攻による難民は記憶に新しい。戦争・紛争地域の難民は世界的に大きく取り上げられ、難民のイメージそのものとなった。一方日本の隣国である北朝鮮の難民は「脱北者」としてのイメージが強い。日本のメディアはなぜかこの「脱北者」という言葉を多用し、「北朝鮮の難民」とは絶対に言わない。彼らは難民ではないのだろうか。そもそも難民の定義も多様であり、UNHCRとヨーロッパでも違う。やはり国や地域によって難民に対する様々な考えや思惑があるのだろう。この定義を統一することは、現段階では無理だと思う。
「脱北者」という表現は、まるで難民ではないかのような表現であるが、彼らは事実上難民であると思う。隣国の中国が彼らを難民と認めていないという問題はあれども、UNHCRの示す「庇護希望者」やヨーロッパの示す「事実上の難民」という項目にどう考えても当てはまる。我々日本人は「脱北者」という呼び方に慣れきっているために、彼らを難民と認識していない傾向にある。そのため「難民は遠くの国で起こっている問題」と認識して...