高坂・戸田の「青年期における心理的自立」の論文によると、「青年が心理的自立を獲得するためには、青年自身が家族内で自由なコミュニケーションが取れており、家族に対して肯定的な評価を持ち、さらにまとまりがあると感じることが重要である」とある。そもそも心理的自立とは何か?この論文では心理的自立を「成人期において適応するために必要な心理・社会的な能力を備えた状態」と定義している。これを私は「他者とコミュニケーションを取る事ができ、多種多様な人間がいることを理解した上で共生を図れる能力」と解釈している。そしてこの心理的自立が達成されていない人々とは、社会からフェードアウトした人間、つまり引きこもりやニートと呼ばれる社会と自分のつながりを絶った人々や、さらには自殺者や犯罪者もこれに該当する。論文の主張が正しいならば、これらの人々の多くは青年期の家庭環境に問題があるケースが多い、と言える。
今回参考にした「若者はなぜ殺すのか」という本は、犯罪や自殺に手を染めてしまった若者の家庭環境やその心理を細かく記述、分析している。その中心となっているのが昨年起きた秋葉原での無差別殺傷事件の青年である。この青年が犯...