米文学史試験対策(全5題フルセット)
【Wフォークナーと、Jスタインベックについて、代表作を挙げながら論ぜよ】
ウイリアム=フォークナー
彼の代表作は何と言っても『響きと怒り』(1929年)である。これは「ヨクナパトーファ・サーガ」と呼ばれる一連の作品の一つで、ヨクナパトーファ群という架空の場所を舞台とし、サーガという一家や一族を伝説的に、歴史的に描いた長編小説である。父親と長男が死んだコンプソン家を舞台にし、次男や、白痴の三男、母親、姪、黒人のお手伝いなどが登場する。彼の作品の特徴である骨肉間の愛の問題を取り上げており、白痴の三男が言葉にならない叫びを挙げるシーンが象徴的である。彼の作品は『響きと怒り』を初めとして、往々にして難解で簡単には読めないものが多いが、そんな中でも、短編「エミリーへのばら」や『サンクチュアリ』は比較的手に取りやすいものとなっている。彼の作品は批評家からは評判が良かったが、なかなか読者を獲得することができなかった。しかし批評家カウリーの手助けにより『ポータブルフォークナー』が発売されることがきっかけで、彼の評判は次第にあがって行った。そうして1950年、彼はノ...