労働情勢とジョブカードの課題
1985年の労働者派遣法制定以来、非正規雇用の規制緩和は推し進められ続け、1999年には原則全業種への派遣解禁、2003年には製造業への派遣解禁と進んだ。これらの規制緩和と1993年から2004年にかけての就職氷河期の発生によって非正規雇用者は大幅に増加することとなる。就職氷河期は不況による偶発的な現象と言うよりも、この時期に就職活動を行う学生がちょうど団塊ジュニア層という人口構成比の高い層であったために必然的に過当競争となる時期であったため、事前に充分予測可能であった。そのため非正規雇用の規制緩和は就職氷河期の到来をある程度予測した産業界と行政が雇用調整のカードとして使ったともとれる。そして、そのような規制緩和は迅速な人材確保や柔軟な人員調整が可能となるなどのメリットはあるものの、その多くは雇用主側のメリットであり、行き過ぎた緩和によるしわ寄せは労働者が受け入れざるを得ない状況となった。多くの歪みと格差(不公平感)を生み出した一連の規制緩和であるが、針を逆に進めて制度を過去のものに戻す事が現状の問題解決になるわけではなく、そもそもの原因は規制緩和を進めた...