『エドガー・アラン・ポーとマーク・トウエインについ
て述べよ』
⇒2009年、アメリカ・ロマン派文学のみならず世界文学史上においてもひときわ輝く天才作家エドガー・アラ
ン・ポーは、生誕200年をむかえた。
彼の生涯は家庭的にも、経済的にも必ずしも恵まれた
ものではなかった。にもかかわらず、その文学的才能だ
けをもとでに怪奇幻想小説の継承者として、本格探偵小
説の創始者として、また空想科学小説の開発者として名
声を博したポーの傑作群は、2世紀を経た今日でも広く
読み継がれている。
ポーの文学的評価を決定的なものにしたのは、彼自身
の生きた19世紀前半のアメリカよりも19世紀後半の
フランスにおいてであった。ポーに傾倒したフランス象
徴派を代表する大詩人シャルル・ボードレールがポーの
全作品を翻訳し、また、フランス印象派を代表する作曲
家クロード・ドビッシーが「アッシー家の崩壊」をもと
にした未完のオペラまで残している。
エドガー・アラン・ポーにはふたつの文学領域がある。
ひとつは詩、もうひとつは散文で、短編小説と批評文(評
これらの内で最も広く知られているのは、短編小説の
分野であり、...