<はじめに>
乳児期は、その後の人間関係のあり方を左右する極めて大切な時期である。乳児期に母親との相互関係を欠くと、その後の人格の発達に大きな影響を与えることがわかっている。一見、家庭保育の方が子どもの発達によいのではないかと思われるが、近年の家庭保育の実態を探っていくと、一概に母親による家庭での養育が子どもにとって良いとはいえない事が明らかになってきた。このレポートでは、近年の家庭養育上の問題点を始めに述べ、乳児保育は家庭保育とはどのように異なるのかを明らかにする。また、乳児保育の良い点、留意しなければならない点、家庭での母親による養育の問題点をふまえた上での乳児保育のあり方について考える。
<家庭での母親による養育>
母親と子どもの間に愛着が形成されていくと、子どもは母親を安全基地とし、まわりの環境に積極的に関わっていくことができる。親の養育の仕方は、子どもの社会化に大きな影響があり、特に、母子関係は直接的な影響を与えるのである。また、家庭は産まれてきた子どもが始めてしつけを受ける場所でもある。このように、子どもの発達による家庭での養育の重要性は明らかであるが、現代での家庭養育の機...