モダンタイムスの結論についての考察。
そもそもモダンタイムスとは現代、近代を意味し、資本主義、市場経済をこのようにコミカルに皮肉ったこの映画は当然問題視された。確かにこの映画は当時の社会を批判したような内容になっているが、含まれているメッセージはそれだけではないような気もする。それは「人間の幸福」についても語られている映画なのではないだろうか。それがモダンタイムスの結末から読み取ることができる。
最後のシーンで注目したいのが、チャプリンの口周りを手でなぞって笑いかけるシーンだ。ここでは心を持った人間同士の「言葉を持たない会話」がとてもよく伝わる。それまでは工場が何度も登場し、機械化した社会を強調していた。工場で働くチャプリンに笑顔はなく、毎回のように他者から激怒されるという展開が続いていた。そしてこのラストシーンではチャプリンの心からの笑顔が見られた。まさに、人間の機械化に抗し、個人の幸福を求める物語であると言える。最後の一本道は、これまでのゴチャゴチャした機械や町並みと対照的に、何もない風景がずっと続いていた。そこには確かな希望が見られた。仕事を失ったことに対する絶望はまるで見ら...