「PL法とアメリカ法理論の考察」
はじめに
Product Liabilityは、日本では製造物責任法(以降PL法)と訳され、1960年代初めのアメリカにおける判例により確立された。またヨーロッパでは製造物責任の扱いについて各国でかなりの差異があり、その均一化を図る必要性から、1985年に当時のEC閣僚理事会において法律の統一に関する指令が採択され、各国で製造物責任に関する立法が導入された。日本でも、この法律が制定される前は、民法が過失責任の原則を採用していることを前提に、製造物に欠陥が存在することで製造者の過失を事実上推定する方法により被害者の救済を図ってきたが、当時のEC諸国の動向を受けて立法が検討され、この法律が1994年に制定された。
本レポートでは、まず「アメリカ法」、次に「PL法」について概要を解説し内在する法理論について考察を加えていく。
Ⅰ、アメリカ法の概要
1、アメリカ法の構造
(1)連邦法と州法
アメリカの法律は、連邦法と州法が二重構造になっている。そもそも連邦主義は、統治権が連邦と州に分類することであり、決して連邦が州の上位とするものではない。連邦政...