テネシー・ウィリアムズ作『ガラスの動物園』の主題について述べよ。
ウィリアムズは『ガラスの動物園』の上演ノートでこういっている。「真実とか、人生とか、あるいは現実といったものは有機的なもので、本来、詩的な想像力―によってのみ、これを表現、あるいは暗示することができるのだ。」彼の作品ではよく、南部の都市育ちの繊細な少女や、現実に夢を裏切られて失意の人生を送る中年の女性、また、希望を失い不安の底にいる人が描かれる。『ガラスの動物園』では母親のアマンダ、娘のローラ、そしてトムそれぞれが抱いている挫折感、それから逃れようとする希望、そしてそれがむなしい結果となり再び絶望と挫折を味わう様子を描いているが、このような内容を扱うとき、いわゆる写実的に表現しようとはせず、むしろ象徴的に、「詩的な想像力」によって表現しようとしたのである。彼にとっては現実そのものの持つ価値より、心の中にある情緒の価値の方が大きいのである。目に見える現実そのままのものを写実的に舞台にのせるのではなく、彼が現実の中から感じているものを再構築し、それが真実であると信じて表現しているのだ。だから作品の冒頭部分で、トムに次のよう...