○客観的危険の増加と主観的危険の増加
保険料は保険事故の発生率をもとにして算出される。したがって、保険契約締結後に保険事故発生の危険が著しく増加したときに、保険者が同じ保険料で責任を負いつづけなければならないとすると、給付と反対給付が均等でなくなってしまう。このような契約締結後の事情の変動については、ある程度は契約締結時に織り込んでおくべきであるとも考えられるが、予想外の変化はありうる。特に保険契約は一定期間継続するものであるから、事情の変化が起こることは十分にありうる。このような予想外の変化についてまで契約締結時に対策を講じておくべきであるとするとことは保険契約者の不利益にもなる。保険者は危険の増加に備えて保険料を高めに設定することになるが、これは保険契約者にとって不利益であるからである。
客観的危険とは、被保険者の内心のような主観的危険ではない、外形的な危険をいう。たとえば、自動車保険において、契約締結時には自家用車として使用していた車を、後に商用で使うようになったとき、客観的危険が増加したと言える。商法657条は、危険の増加があったときには保険契約が即時に無効となると規定しているが、危険の増加はよくあることであり、即時に無効とすることは被保険者に酷であるため、多くの約款は、「用途変更の通知」を要求し、保険料を増額することによって対応している。
では、被保険者が自己の殺人を他人に依頼した場合、主観的危険の増加と客観的危険の増加のいずれであると言えるだろうか。思うに、これを主観的危険の増加と解すると、いつから増加したのかが不明となるため、客観的危険の増加と解すべきであると考える。特に、プロの殺し屋に頼んだような場合には、頼んだ時点で、「殺害」という結果が発生することがほぼ確実となるがゆえに、主観的危険の増加ではなく、客観的危険の増加であると解すべきである。
○客観的危険の増加と主観的危険の増加
保険料は保険事故の発生率をもとにして算出される。したがって、保険契約締結後に保険事故発生の危険が著しく増加したときに、保険者が同じ保険料で責任を負いつづけなければならないとすると、給付と反対給付が均等でなくなってしまう。このような契約締結後の事情の変動については、ある程度は契約締結時に織り込んでおくべきであるとも考えられるが、予想外の変化はありうる。特に保険契約は一定期間継続するものであるから、事情の変化が起こることは十分にありうる。このような予想外の変化についてまで契約締結時に対策を講じておくべきであるとするとことは保険契約者の不利益にもなる。保険者は危険の増加に備えて保険料を高めに設定することになるが、これは保険契約者にとって不利益であるからである。
客観的危険とは、被保険者の内心のような主観的危険ではない、外形的な危険をいう。たとえば、自動車保険において、契約締結時には自家用車として使用していた車を、後に商用で使うようになったとき、客観的危険が増加したと言える。商法657条は、危険の増加があったときには保険契約が即時に無効となると規定して...