死刑については、存置論と廃止論がいまもなお対立している。以下で、いくつかの論点を検討する。
第一に、死刑が応報刑論から必然的に導き出されるという見解は正しいか。思うに、死刑の存廃はそれぞれの刑罰理論から必然的に導き出されうる結論ではない。応報刑論を採るとしても、犯罪者に刑を科すのは応報ととしてであることが確認されるだけであって、応報の内容として生命の剥奪が含まれなければならないという論理が確認されているわけではない。
第二に、死刑が犯罪を抑止すると言う見解は正しいか。法務省に代表される存置論は、世論調査の結果をもって、抑止効果ありと主張する。しかし、犯罪者ではない国民の意見を根拠とすることはできない。世界各国での「死刑の犯罪抑止効果」についての調査から言えることは、効果があるかどうかは不明ということである。であるならば、「生命の尊重」という大原則を優先すべきである。
死刑存廃論について
死刑については、存置論と廃止論がいまもなお対立している。以下で、いくつかの論点を検討する。
第一に、死刑が応報刑論から必然的に導き出されるという見解は正しいか。思うに、死刑の存廃はそれぞれの刑罰理論から必然的に導き出されうる結論ではない。応報刑論を採るとしても、犯罪者に刑を科すのは応報ととしてであることが確認されるだけであって、応報の内容として生命の剥奪が含まれなければならないという論理が確認されているわけではない。
第二に、死刑が犯罪を抑止すると言う見解は正しいか。法務省に代表される存置論は、世論調査の結果をもって、抑止効果ありと主張する。しかし、犯罪者ではない国民...