「グリーンランド、カナダ及びアラスカのホッキョクグマの肝臓中特定元素の地理的分布」
1.Introduction
多くの元素・金属は自然界に存在しているが、北極における特定の元素濃度は天然資源の抽出の増加と、低緯度地方からの大気輸送由来で増加している。また、これにより北極で局部集中的な汚染問題が発生するかもしれない。
ホッキョクグマ(Ursus maritimus)は大きく、長寿で、北極を移動し哺乳類の捕食をする。また、北極における食物網の上位である彼らは、環境中の汚染物質の優れた監視者である。ホッキョクグマは専らワモンアザラシ(Phoca hispida)とアゴヒゲアザラシ(Erignathus barbatus)の二種のアザラシだけを食べ、そのうちでもワモンアザラシを主な食餌としている。これら特徴と彼らの広い生息圏から、ホッキョクグマたちは北極の多様な汚染物質の優れた監視者とされる。
過去の調査では、有機ハロゲン汚染物質(主としてPCBs)の蓄積がホッキョクグマの生殖機能と免疫反応の様な至る機能に影響がある可能性が示された。また、過去のホッキョクグマの肝臓における元素濃度分...