労働組合の諸行動に対する法的承認は、どのような過程を経て実現するに至ったのか。
また、それを踏まえたときわが国における「労働基本権」の保障(憲法28条)の意義はどのように解されるべきか?
近代市民革命以降成立した近代市民社会の法体系において、全ての経済主体の社会的関係は、自由平等な当事者同士の交渉に基づく、自由・平等な契約関係として構成される。労働者‐企業の関係においても、同様で、労働者が企業に雇用され労働に従事し、賃金を得るという関係は、自由・平等な当事者の契約的関係として構成され、それぞれの権利・義務は、合意された分量の労働力の引き渡し、その対価の支払いとして、具体化される。
しかし、この、自由・平等な当事者による自由・平等な取引に基づく労働条件の決定という論理は、虚偽である。なぜなら、労働条件の決定は労働者と企業との交渉をもって決定するということはあり得ないからである。企業は、その効率的運営のために職場規律を含む労働諸条件につき、先行的・画一的に労働条件を決定し、労働者はそれを前提に雇用され労働に従事するのである。さらに労働者‐企業の意から関係という点から見るとき、前記の論...