No.8 自然法と実定法の規範的意味および両者の関係について述べよ
(1) 自然法と実定法の規範的意味
実定法は、主権の一部である立法権を通じて作成され、国民全体に直接に効力を及ぼす。直接的効力を有する、とは法の内容に沿った社会状況の実現のために人に対して強制的な力を行使することにほかならない。そしてまた国民に直接的効力及ぼすと同時に、そうであるためにも、成文化されて客観的に理解できる状態に定められているという基本特性を備えている。対して自然法
No.8 自然法と実定法の規範的意味および両者の関係について述べよ
自然法と実定法の規範的意味
実定法は、主権の一部である立法権を通じて作成され、国民全体に直接に効力を及ぼす。直接的効力を有する、とは法の内容に沿った社会状況の実現のために人に対して強制的な力を行使することにほかならない。そしてまた国民に直接的効力及ぼすと同時に、そうであるためにも、成文化されて客観的に理解できる状態に定められているという基本特性を備えている。対して自然法は、これが自然法の中味である、とは誰にも直接は判らないあり方をしている。従って実定法そのものの根拠であると考えられても、それに違反した行為だからといって人が裁判で責任を問われることにはなりにくい。
自然法と実定法の関係
自然法は実定法に対して二つの相反する位置を占めることになる。すなわち、既存の実定法の正当性の根拠としての位置と、逆に、新しく作られるべき実定法の裏づけとしての位置とである。自然法が全時代を通じて普遍の内容であるならば、実定法もまた変わることが無いと考えられようが、歴史を通じて実定法は変容を重ねてきている。
自然法と実定法の関係には、...