『算数科教育の歴史(黒表紙教科書、緑表紙教科書、水色表紙教科書、単元学習、現代化、ゆとり)について述べ、それらの教育内容を自分の視点で考察せよ。』
本レポートでは、算数科教育の歴史を時代ごとに考えるとともに、各時代における算数科教育がどのような社会的背景の下に成立し、その内容がいかなるものであったかについて考察する。
江戸時代における算数教育は、主に寺子屋など庶民のための学校で行われ、子どもたちは算盤を用いた珠算中心の実学指向の算数が学ばれていた。明治時代に入ると、1872年の学制制定によって、寺子屋とは異なる国家による学校教育が始まる。当時は欧米の教科書が翻訳されたものを使用しており、その内容は数、加減乗法、分数など、数と計算を中心としたものであった。珠算ではなく筆算を基本とし、ここに当時の文明開化による欧米文化の流入の影響が見られる。幾何の内容については、ユークリッド幾何学の内容を基底に、図を用いた直観幾何の方法などがとられたが、数と計算に比べて内容的に少なく、小学校の内容から次第に削減されることとなった。
明治時代も中後期に入ると、富国強兵政策のもと、学制改革や教育勅語の発布に...