地域福祉の概念規定における機能的アプローチと構造的アプローチについて述べよ
地域福祉の概念は福祉施設中心のケアに対する反省から生まれた考え方である。近年では、「住み慣れた地域社会の中で誰もが人間らしく社会の一員として自立した生活を続けることができるような状態を作っていくこと」であるとされ、「ノーマライゼーション」の考え方が反映されたものとなっている。このノーマライゼーションの考え方はハンディキャップを持つ人々への理解を深め、差別や偏見を克服し、地域社会の福祉機能を強化するものにつながっており、近年の我が国の福祉政策全体に影響を及ぼしている。
この地域福祉の概念化の展開を歴史的にみると、まずそれは1950年頃のイギリスで生まれたコミュニティ・ケアの考え方に源流があるとされる。そして日本に地域福祉の考え方が広まったのは1960年中ごろであった。それまで施設中心の考え方だった日本の社会福祉に大きなショックを与えたのだ。そして施設中心の福祉から、地域中心(在宅福祉中心)の福祉に方向転換するきっかけとなった。そして日本でコミュニティ・ケアの考え方が本格的に取り入れられたのは1980年代に入...