設 題
ペスタロッチーの教育学(直観の原理など)について考察せよ。
ペスタロッチーの多くの著述の中で教育思想が見事に結晶化したものは、ノイホーフの貧民学校解散直後に公にした『隠者の夕暮』であり、その冒頭でペスタロッチーは「王座の上にあっても木の葉の屋根の蔭に住まっても同じ人間、その本質からみた人間、いったい彼は何であるか」をまず確認するようにと呼びかけている。そして人間性の内面にかくされている諸力を純粋な人間の知恵にまで高めることが教育の目的であり、それはまた全ての人々にとっても教育の平等な一般的目的でなくてはならぬものである。そして人格的な基礎に立つ知恵の教育は、彼にあっては実践を媒介としなくては成立しないものとされた。そこで、学習と労働または学校と仕事場との一体化が、ペスタロッチーの終生の事業となったのである。
教育論の根本的な考えとして、ペスタロッチーもルソーと同様に、子供には将来発展する素質が備わっており、この素質が子供のうちから発展するように助成するのが教育と考えている。教育者は子供の内的本性がみずから実現していくのを援助することに専念しなければならないわけである。このよ...